かいしんの一撃は何のためにあるのか?/ゲームの雑学

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ドラクエシリーズでおなじみの「かいしんの一撃」ですが、どんな意図があって作られたものなのか、ゲーム製作者の目線で考察、解説します。

私はゲームプレイヤーであると同時に15年以上ゲーム関連の仕事に携わっています。主にPCやスマホ向けのオンラインゲームの制作や運営をしてきたのですが、そんな立場ゆえにゲームをプレイしながらもふと、「この機能は何を目的に実装されたのか」など考えてしまいます。

今回はドラクエの代表的なシステムのひとつ「かいしんの一撃」について考察していきたいと思います。

かいしんの一撃の歴史

かいしんの一撃は、通常こうげき時に確率で発生して、大ダメージを与える仕組みです。FC版の初代ドラクエから導入されているシステムで、一般的なゲームにおけるクリティカルに該当するシステムです。その仕組みの起源は1975年(初代ドラクエが発売する11年前)に発売されたテーブルトークRPG「Empire of the Petal Throne」とされており、その後1981年にアメリカで発売された「ウィザードリィ」において「Critical Hit」という名称が使われ、以降定着しています。

日本ではドラクエではじめて実装された仕組みとなります。

なお、シリーズ毎に微妙に仕様が変わっており、例えばFC版の初代ドラクエではかいしんの一撃が敵に回避されることがあったのがドラクエⅡ以降は必中となっていたりします。

発生確率は1/64で設定されていることが多く、ドラクエタクトにおいてもこの確率で設定されていると考えられます。
※多くのプレイヤーの検証によって、かいしんの一撃の発生率は1〜2%と言われており、1/64は約1.6%であるため。

なぜ、かいしんの一撃を採用したのか

これは、運要素を含めることで飽きを回避するためだと考えられます。

プレイヤーの行動に対して、毎回決まった結果が返ってくると飽きに繋がります。レベル上げなどゲームの仕組み上、同じ敵と繰り返し戦うことになるRPGにおいてはとくにこれが発生しやすいです。

一方で、人は「こうなるだろう」という予測を裏切られると、そこに驚きが生まれ、この驚きを定期的に与えることが飽きに対する解消策のひとつであると元任天堂社員でWiiの企画を担当された玉樹慎一郎さんも著書の中でおっしゃっています。

かいしんの一撃はこうした「予想外」を作り出すための機能であると考えられます。

対戦における運要素の役割

腕相撲で完敗した相手にもう一度挑もうとは思いませんよね?極端な話、運要素を完全に排除した対戦はこれに似ています。対戦コンテンツにおいてもっとも重要なことは「負けた人がもう一回遊んでみたい」と如何に思わせられるかです。そのために「次やったら勝てるかもしれない」と思わせる適度な運要素が必要なのです。そうでなければ、負けた人からプレイをやめていってしまい、コンテンツが過疎ってしまいます。

運要素を加えたことでうまくいった例としては大乱闘スマッシュブラザーズが挙げられます。格闘ゲームのプレイ人口が減少傾向にある中で、広い年齢層に遊ばれる本作は

  • ステージギミックによるランダム性
  • アイテムによるランダム性
  • 3人以上の参加による戦況のランダム性

によって、適度に実力差を濁しています。これがもし、2人対戦でステージギミックもアイテムなどの運要素が一切なかった場合はここまでのヒット作にはなっていなかったかもしれません。

まとめ

後半、話がやや脱線しましたが、「かいしんの一撃」というのは適度な運要素を入れることで飽きを解消するために実装された機能だと考えられます。

ドラクエには他にもカジノやパフパフといった飽きさせない体験デザインが詰め込まれており、ゆえに多くの人に長く愛される作品になっているのだと思います。人を熱中させる体験デザインの作り方について詳しく知りたい方は記事内で紹介した書籍に目を通してみることをおすすめします。ゲーム以外の仕事や生活の中にも活かせる部分がきっとあると思います。

 

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