ゲームが好きな人にとって、ゲーム業界で働くことは魅力的に感じるのではないでしょうか?
かくいう私も子供の頃からのゲーム好きが高じて、ゲーム会社に就職したクチです。
そして実際に働いてみて、良かったことはたくさんありますが、苦労もありました。
今回は、ゲーム会社に15年勤めた私が、ゲーム業界で働くことのメリットやデメリットを実体験をもとに紹介したいと思います。
ゲーム業界への就職を考えている学生さんや別業界からの転職を考えている方は、ぜひご一読ください。
良かったこと
ゲームで大はしゃぎできる
正直、私にとってはこれが一番良かったことです。
大人になるにつれて、徐々に周りの人はゲームをしなくなっていきますし、やっていても昔と同じような熱量でプレイしたり、語ったりはしなくなります。そう、普通の大人はね。
ゲーム会社の人たちは基本的にゲーム好きなので、新作ゲームが出た次の日には、小学生の頃のように皆で情報交換したり、休憩時間や就業後には一緒にプレイしたりすることもあります。
趣味について本気で語っても白い目で見られない、同じ熱量で返してくれる仲間がいる環境は歳を重ねるほどに貴重になってきます。
趣味と仕事を両立しやすい
仕事で良いアウトプットをするためには、最新の情報をインプットし続けることが重要です。
ゲーム開発におけるインプットとは、つまりたくさんのゲームをプレイすること。(もちろんそれだけじゃないですが)
もともとの趣味がゲームであれば、このインプットが苦になりませんし、休日にもインプットをし続ける訳ですから、非常に効率的です。
うまくアウトプットして成果を出せれば、人事評価もあがり昇給にもつながってきます。ある意味「ゲームをプレイしてお金を稼ぐ」ことが遠回しですが実現可能です。
これは私がプランナーだったから特に感じる側面はありますが、デザイナーやエンジニアにおいても、最新の技術や手法、工夫、見せ方などに触れることは非常に重要だと考えます。
フィードバックの機会が多く成長できる
ゲームの場合、SNSや動画(およびコメント)、レビュー、お問い合わせを通じて、意見を発信してくれるユーザーが多いため、自分がやったことに対するフィードバックを得る機会が多いです。
また、オンラインゲームであれば、どれくらいのユーザーがコンテンツを遊んでくれて、どこで辞めてしまったのか等を数値として具体的に把握することができます。
課題を明確にし、試行錯誤して解決できたときには、大きな成長感と喜びを得ることができます。
苦労したこと
プレイヤー目線とビジネス目線の両立
これは特に運用型のゲームで発生するのですが、プレイヤー(ユーザー)にとっての最適とビジネスにおける最適が一致しないケースが出てきます。
一例を上げるなら、プレイヤーにとっては、全てのコンテンツを無料で遊べることを望むでしょうが、当然それではビジネスが立ち行きません。
上記は極端な例としても、Free-to-Play(アイテム課金型)ではなくて、売り切りや月額にして欲しいという意見もあるでしょう。しかしこの場合も次のような課題があります。
近年はプレイヤーの求めるクオリティが高くなり、比例して開発費も高騰しています。
よって、開発費を回収しつつ、次の作品を作るための原資を稼ぐためには、日本国内だけでは足りず、世界をメインターゲットにした、ゲームを作る必要がでてきます。
日本と北米、ヨーロッパでは好まれるゲームジャンルやビジュアルなど様々な点で要求されるものが違います。そして、市場規模としても日本とその他では後者のほうが大きい訳ですから、必然的に洋ゲー寄りのものばかりが作られることになります。この傾向は既にPS5やXboxで顕著になってきているかと思います。
ゲームが純粋に好きであればあるほど、プレイヤー目線で作りたいものと、ビジネス目線で作らなければいけないものとで葛藤があると思います。
ゲームに忙しくてゲームができない
恐らく皆さんも、プレイしたいゲームが沢山あって時間が足りないと嘆いていることでしょう。
しかし、ゲームを仕事にすると、市場のトレンドを把握するために新作ゲームをプレイし、自分の会社のゲームをプレイする必要があるため、純粋に趣味としてのゲームプレイ時間がさらに削られていきます。
この欲望を抑えるのには、かなりの忍耐が必要です。
また、新作がでるような時期(クリスマスシーズンなど)は、基本的に自分たちも忙しく、残業や休日出社も頻繁に発生しますので、さらにプレイする時間が削られます。
まとめ
いかがだったでしょうか。
私の経験をもとにしているので、人によって、または会社によって異なるところもあるかと思いますが、ゲーム業界で働いたことのある人なら共感いただける部分は結構あるんじゃないでしょうか。
ゲームを作る仕事というのは、ゲームをプレイするのとはまた違った楽しみがありますし、ゲームを作ることで、プレイする時に違った視点で見えてくるものもあります。
本当に好きなものは仕事にしないほうがよい という意見もありますが、私は必ずしもそうではないと思っていますし、実際に私は楽しく仕事ができています。
もし、ゲーム業界への就職を考えていて、質問がある場合は、TwitterのDMでご連絡をいただければ、お答えできる範囲で回答させていただきます。