遊戯王クロスデュエルは なぜコケたのか

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遊戯王の新作アプリ、クロスデュエルが、9月6日にリリースされましたが、セールスランキングは100位付近と、奮わないスタートとなっています。

100位と言われてもピンと来ないかもしれませんが、今年1月にリリースされたマスターデュエルや、2016年にリリースされたデュエルリンクスが、リリース直後に10位以内であったことを考えると、今作の出だしがイマイチであることがお分かりいただけると思います。

また、セールスだけでなく、ダウンロード数の伸びもイマイチで、サービス開始から1週間ほど経った現在も、100万ダウンロードを超えたというアナウンスは聞こえてきません。
こちらも、マスターデュエルが1週間で400万、デュエルリンクスが1日で100万ダウンロードを超えていることと比較するとスローペースですね。

もちろん、セールスもダウンロード数も、一般的なアプリで考えれば、大コケしたとは言えない水準かもしれませんが、遊戯王という人気の版権を使ったゲームに求められる水準には至っていないと、制作側もユーザー側も感じているのではないでしょうか。

では、何故このような状況になっているかについて、考察していきたいと思います。


当ブログでは、ユーザーとして30年以上、製作者として15年以上、ゲームに携わってきた筆者が、ユーザーと製作者、双方の視点で、ゲームに関するニュースや雑学、関連技術について発信をしています。

余談になりますが、筆者は遊戯王ド真ん中世代であり、東京ドーム事件の際は現地にいましたし、もはや誰も知らないであろう、遊戯王ONLINEに激ハマりして、1回目のガンスリンガー大会(時間内で連勝数を競う大会)ではランキング2位になるほど、遊戯王への思い入れが深いです。

考察1 非ゲームユーザーやライトユーザーが獲得できなかった

タイトルの成功と公式Twitterのフォロワー数には正の相関関係があり、近年はこの傾向がより顕著になってきていると感じます。

今年リリースして、結果を出しているタイトルをいくつか例にあげると

ヘヴンバーンズレッドが45万フォロワー
鋼の錬金術師モバイルが39万フォロワー
幻塔が22万フォロワー

同じ遊戯王を題材にしたマスターデュエルが25万フォロワー
これに対して、今作のクロスデュエルは9万フォロワーです。

9万フォロワーがそもそも多いのでは、という意見もあるとは思いますが、ヒットしているタイトルは10万以上のフォロワーがリリース時にいるケースが多く、今作の様に人気のアニメやマンガ版権を使ったものであれば原作ファンも取り込めることから、20万以上のフォロワーがひとつのボーダーになってきています。

では、フォロワーが少ないと、どんなことが起きるでしょうか

・人気がなさそう とユーザーが感じてダウンロードしない
・再生数が稼げなそう と配信者が感じて動画が増えない
・認知が拡大せず、新規が獲得できず、本当に人気がなくなる

こういった流れが想像できます。

まず、これだけ多くのゲームが、世の中にある状況でわざわざ、人気の無いゲームをプレイしたいでしょうか?

答えはNOです。

多くの人はある程度人気があり、流行っているゲームをプレイしたいと思うでしょう。
もちろん、周りの意見は関係い といった硬派なユーザーもいますが、アプリ市場全体で見ると少数派です。

流行ってることをやりたい、欲しい と思うのは、なにもゲームに限ったことではないですし、フォロワーが多い=流行っているゲームがプレイされやすいというという心理が働くのは自然かと思います。

さらに近年では、ゲームをプレイすることによる「SNS上での資産価値」も意識されている様に感じます。
どういうことかというと、そのゲームをプレイすることで「どれだけ多くのフォロワーやいいねが得られるのか」という観点でプレイするゲームを選定している人が少なからずいるのでは と。つまり、ゲームを単純な娯楽としてだけではなく、ツールとして見ている人が一定数いるのではないか と。

あるいは、ゲーム自体はさほど面白いと感じていなかったり、飽きてしまっても、そのゲームをきっかけに繋がった人とのコミュニケーションは楽しいし、手放したくないからゲームを続ける というケースもあるかと思います。

つまり、ここまでの話をまとめると
遊戯王タイトルとして求められる売上水準を達成するには、非ゲームユーザー、ライトユーザーにもプレイしてもらう必要がある中で、フォロワー数の(相対的な)少なさがオワコン感を出してしまい、ユーザーの獲得に失敗しているのでは と考察します。

考察2 版権のメリットが活かせなかった

遊戯王と聞いて皆さんがイメージするのはOCG(遊戯王カード)ではないでしょうか?
OCGに触れたことは無くても、アニメやマンガを見ている人であれば、遊戯王がカードゲームを題材にした作品であることを知っているでしょうし、OCGのルールをある程度は理解しているでしょう。

なので、遊戯王の新作と聞けば、まずはOCGをベースにしたカードゲームをイメージしますし、実際これまでにリリースされてきた多くのゲームは、要素の簡略化や追加はあれど、基本的には馴染みのあるOCGのルールを踏襲していました。

そのため、詳細な説明が無かったり、簡素なチュートリアルでも最低限の遊び方は分かったし、触ったときの懐かしさや「遊戯王感」があったのだと思います。

それに対して、今作は完全オリジナルのボードゲーム風のルールで、従来のカードゲームをイメージ、期待していた人からは、この時点で「コレジャナイ」と拒否反応があったのではないでしょうか。

さらに、ゲームのルールが少し複雑かつ4人対戦ということも相まって、純粋に難しいと感じてしまった人もいるかもしれません。

ちなみに私はここが今作一番のネックになったと考えています。

遊戯王に限らず、既にあるマンガやアニメ、ゲーム版権を使ってゲームを作る場合、以下のようなメリットがあります。

  • 作品のファンが居る為、ある程度のユーザー獲得(販売数)が見込める
  • 世界観やキャラクター等の説明が一部省ける
  • ゲームルールやシステムの説明が一部省ける

ゲーム開発費は年々高騰しており、人気版権を使う規模のプロジェクトであれば開発費だけで10億を下回ることはほぼありませんし、ここに広告宣伝費が上乗せされます。

さらに、運営型のタイトルであれば、サービス中の運営開発人員の人件費やサーバー類の機材コスト等、数千万のランニングコストも発生するため、ゲーム開発はお金のかかるリスクの高いビジネスになっています。

多額の投資をする以上、企業としては、より確実に売りたいと考えるため、既にファンが存在していて、一定数のユーザーが約束される版権を使うメリットが大きいわけです。

世界観やキャラクターについては、ゼロから考える必要がなく、アニメやマンガなどストーリーを補完してくれるコンテンツが既にあることから、ゲーム内で説明を省ける部分が増えます。

ゲームルールやシステムについても、例えばドラクエシリーズなら、じゅもんを使うのにMPが必要で、パーティ全員のHPが0になったらゲームオーバーという基本ルールの説明が省けるわけです。

今作で問題なのは、これら版権のメリットのうち「ゲームルールやシステムの説明が一部省ける」という点が機能しなかったことだと考えています。

そもそも、遊戯王を始めとしたカードゲーム全般は

  • ルールを覚える
  • デッキを作る

という比較的大きな学習コストが最初に発生し、これがゲームを始める際の壁になります。

世の中にあるカードゲームのルールや根幹システムが似ている理由のひとつは、過去に何かしらのカードゲームを触っていれば、基本的な遊び方が分かるようにして、初期の学習コストを下げ、手に取ってもらいやすくするための工夫だと考えています。

遊戯王においてもこの点は重要で、基本的なルールをアニメやOCGを通してファンがある程度理解していることで、一部ルールの簡略化をしたデュエルリンクスや4人対戦のタッグフォースがヒットした要因だと思います。

ここまでの話をまとめると、今作はオリジナルのルールと4人対戦という複数の新しいファクターを入れたことで、ルールを覚え直さないといけないというユーザーの初期学習コストを上げてしまい、同時に「ゲームルールやシステムの説明が一部省ける」という遊戯王版権の持つメリットが享受できなかった。

結果、ユーザーの離脱につながっていると考察します。

総括

ここまで、遊戯王クロスデュエルがイマイチ流行っていない要因について考察してきました。

誤解が無いようにお伝えしておくと、私はクロスデュエルのゲームシステム自体は面白いと感じており、実際プレイも継続しています。

それと同時に、遊戯王という版権との相性が良くなかったとも感じています。

遊戯王はカードゲームをメインに扱う作品で、尚且つカードルールの認知度も高いことから、ファンの中でも「遊戯王はこういうもの」という固定観念が一定数あって、新しいものを受け入れづらいという環境もあったかと思います。

同じシステムで遊戯王じゃない見た目でリリースしていたら、評価もまた違ったのかもしれません。

 

最後に、KONAMIがどういった考えの元、今作を作ったのかを考察して終わりたいと思います。

私は今作を「前提知識の差が無く遊べる遊戯王コンテンツ」として作られた様に感じました。

OCGを新たに始めようと思った場合や、久々にやろうと思った場合に障壁となるのが、ルールの複雑化とカード種類の多さ、これによる既存ユーザーとの圧倒的な知識量の差です。

私自身、マスターデュエルで10年ぶりくらいにOCGをプレイした際、カードの知識量の面で、現役OCGプレイヤーとの間にかなりの差を感じました。

相手の出すカードを片っ端から読んで、理解する事にいっぱいいっぱいでプレイングまで意識が回らない状態で、分からない間に負けることが続いてプレイをやめてしまいました。

このルールの複雑化とカード種類の多さによる差を減らそうとして作られたのがデュエルリンクスだと思いますし、結果を見れば成功しています。

しかし、そんなデュエルリンクスもリリースから5年が経過し、カードの種類も増えている状況で、前提知識の差がなく遊べる新たな遊戯王コンテンツが必要となったのではないでしょうか。

これはあくまで私の妄想で、真意は分かりませんが、作られた背景などを考えながらプレイすると、また違った印象を受けるのではないでしょうか。

 

今回は以上となります。最後までお読みいただきありがとうございました。
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